
高温融体の界面物理化学
向井楠宏 著
2007年1月25日 初版1刷
ISBN 978-4-901496-35-3 C3043
発行 アグネ技術センター
A5判・並製/ 165頁
定価 3,520円(本体価格3,200円+税 10%)
→厚さ:13 mm,重さ:360 g
→DVD付
「界面が発達した世界」で生じる様々な現象は、工学、特に高温材料プロッセッシングの重要な技術課題に深く関わっている。
界面および界面現象を取扱う学問である「界面物理化学」を基礎から深く理解、大きな応用の力を身につけるための一助となることを願い本書を著した。
界面現象のより具体的な理解のために、著者の研究グループが過去20年あまりの間に行った、マランゴニ効果を中心とする高温融体の界面現象のその場観察の記録をDVDの形で付録にした。
はじめに
1章 序論
1-1 界面物理化学
1-2 界面が発達した世界
1-3 工学との関わり
2章 界面の取り扱いの基礎
2-1 界面について
2-2 界面の熱力学的取り扱い
2-2-1 ギブズの方法
2-2-2 表面張力
ⅰ)表面張力の熱力学的解釈
ⅱ)表面張力と分割面の位置
ⅲ)表面張力と曲率半径
ⅳ)表面張力と結合エネルギー
ⅴ)表面張力と温度
ⅵ)表面張力と表面応力
2-3 界面の力学的取り扱い
2-3-1 表面張力の力学的解釈
2-3-2 ラプラスの式
2-3-3 マランゴニ効果
2-4 平衡状態の界面現象
2-4-1 吸着
ⅰ)ギブズの吸着式
2-4-2 ぬれ
ⅰ)ぬれの分類
ⅱ)ぬれの尺度
ⅲ)ぬれの概念の拡張
2-4-3 曲率の影響
ⅰ)蒸気圧
ⅱ)蒸発熱
ⅲ)融点
ⅳ)溶解度
ⅴ)相律
2-4-4 核生成
ⅰ)均質核生成
ⅱ)不均質核生成
2-5 非平衡状態の界面性質,界面現象
2-5-1 界面性質
ⅰ)表面張力
ⅱ)界面張力
ⅲ)ぬれ性(接触角)
2-5-2 界面現象
ⅰ)核生成速度
ⅱ)マランゴニ効果
ⅲ)分散
ⅳ)浸透
3章 高温融体の界面性質
3-1 測定値についての留意事項
3-1-1 測定誤差等
3-1-2 測定の難しさ
ⅰ)メタルの表面張力
ⅱ)スラグの表面張力
ⅲ)スラグ/メタル間界面張力
ⅳ)ぬれ性(接触角)
3-2 表(界)面張力
3-2-1 メタルの表面張力
3-2-2 スラグの表面張力
3-2-3 スラグ/メタル間界面張力
3-3 メタル-セラミックス間のぬれ性
3-3-1 溶融金属-酸化物間のぬれの特徴
3-3-2 メタルおよび酸化物の化学組成の影響
3-3-3 表面の物理的形状,因子
ⅰ)表面の粗さ
ⅱ)界面の構造
3-4 データブック,レビュー
3-4-1 データブック
3-4-2 レビュー
4章 高温融体の界面現象と材料プロセッシング
4-1 鉄鋼製錬プロセスにおける界面現象
4-1-1 ぬれ
ⅰ)連鋳プロセスにおける吹き込みアルゴンガスの挙動
ⅱ)スラグ,メタルの耐火物への浸透,浸入挙動
4-1-2 溶鋼のアルミニウム脱酸過程におけるアルミナの核生成
4-1-3 その他
ⅰ)分散
ⅱ)吸着
4-2 材料プロセッシングにおけるマランゴニ効果
4-2-1 高温融体に生じるマランゴニ効果の直接観察
ⅰ)温度勾配に基づくマランゴニ対流
ⅱ)電位の変化に基づくスラグ滴の伸縮など
ⅲ)濃度勾配に基づくスラグフィルムの運動
4-2-2 耐火物の局部溶損
ⅰ)酸化物系耐火物
ⅱ)酸化物-非酸化物系複合耐火物
4-2-3 界面張力勾配下での液体中微粒子の運動
ⅰ)表面張力勾配下水溶液中微細気泡の運動
ⅱ)凝固界面での微粒子の捕捉,押し出し
ⅲ)浸漬ノズルの閉塞
索引
[付録DVD目次]
1.溶鋼の連続鋳造用ノズル,モールド内における吹き込みアルゴンガスの挙動(水モデル実験)
2.溶融スラグ,メタルの耐火物への浸透,浸入挙動
3.高温融体のマランゴニ効果
3-1 温度勾配に基づく液柱のマランゴニ対流
3-2 電位の変化に基づくスラグ滴の伸縮
3-3 濃度勾配に基づくスラグフィルムの運動
4.耐火物のスラグ表面,スラグ/メタル界面における局部溶損
4-1 耐火物成分の溶解により表(界)面張力が増大する系
4-1-1 固体SiO2のPbO-SiO2スラグ表面における局部溶損
4-1-2 固体SiO2のPbO-SiO2スラグ/Pb界面における局部溶損
4-2 耐火物成分の溶解により表面張力が減少する系
4-2-1 固体SiO2のFeO-SiO2スラグ表面における局部溶損
4-3 酸化物-非酸化物系複合耐火物のスラグ/溶鉄界面における局部溶損
4-3-1 アルミナ・グラファイト質耐火物の局部溶損
4-3-2 マグネシア・カーボン質耐火物の局部溶損
5.表面張力勾配下水溶液中微細気泡の運動
5-1 表面張力勾配が定常状態にある場合の運動
5-2 水溶液の凝固界面近傍における運動