脱原発の技術思想

脱原発の技術思想

―技術はどうあるべきか、その将来展望―


井野博満

2025年7月10日 初版1刷
ISBN 978-4-86707-020-8 C0040
発行 アグネ技術センター
A5判・上製・カラーあり/ 290頁
定価 2,750円(本体価格 2,500円+税 10%)

→厚さ:17 mm,重さ: g



日本が直面している最大の問題のひとつ、原発使用を継続・拡大し、エネルギー使用を増大しつづけ、大量生産・消費・廃棄の社会を維持し、地球環境の荒廃をさらに進めるのか、それとも原発使用を最終的に放棄し、地域社会が自己決定権を取り戻し、持続性のある社会と自然へと変換してゆくのか。本書は、その問いに答えようとしている。現在の最先端の課題が、大胆にしかし平易にかつ説得的に提示されている。激動の1960年代から70年代を生きた者の「総括=終活」が問われている。(本書推薦文より)
広く読んでもらいたい自著論文を集録。




[目 次]

本書『脱原発の技術思想』を読んで 山本義隆
はじめに:本書の目的

第Ⅰ部 脱原発の技術思想
 1. 脱原発の技術思想
 2. 原発の特別性と技術の平凡性,安全評価の立場性
 3. 工学は価値中立的か
 4. 原発の設計思想を問う

第Ⅱ部 福島原発事故をめぐって
 1. 中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発
 2.「福島原発震災」の原因と結果
 3. 市民活動のなかで考えたこと

第Ⅲ部 原発の老朽化をめぐる技術論-中性子照射脆化の危険性
 1. 原子炉圧力容器の製造技術と中性子照射脆化
 2. 中性子照射脆化の概要と監視規程の変遷
 3. 照射脆化予測式の間違い
 4. 原子炉安全審査の根本を揺るがす最新の知見

第Ⅳ部 技術はどうあるべきか,その将来展望
 1. 技術の根元的目的と経済的目的
 2. 21世紀の技術はいかにあるべきか
 3. 1960年代科学技術論争と今日的意義
 4. 現代技術史研究会での思想論争
 5. 雑
   感想文 『人新世の「資本論」』
   書評 『リニア新幹線をめぐって』 『リニア新幹線と南海トラフ巨大地震』
   エッセイ 人びとをつなぐ技術と分断する技術
 6.循環型社会を実現するための 20の視点

結びに代えて 技術から問う:「グリーン・トランスフォーメーション(GX)の虚構」と「21世紀の技術と社会の展望」
1. 技術の支配力―原子力技術の誕生は必然だったか
2. グリーン・トランスフォーメーション(GX)の虚構
3. 「生活圏の技術」 の重要性

あとがき