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続 金属学プロムナード

続 金属学プロムナード
―セレンディピティの誕生そして迷走―



小岩 昌宏 著

2024年6月5日 初版1刷
ISBN 978-4-86707-017-8 C0057
発行 アグネ技術センター
A5判・並製/ 282頁
定価 2,860円(本体価格 2,600円+税 10%)

→厚さ:15 mm,重さ:430 g



『金属学プロムナード』(2004年刊行)の続編.
われわれが先人の築き上げた学問や技術を学び継承していく際,それらが生み出された時代背景,またそれらを生み出した人物の人となりと環境を知ることによって,より深く豊かに理解することができる.
本書は,著者が研究者として歩んだ40年間の間に,自然科学分野で興味を抱いた事柄,それを解明した人物などに関して調べたことを第1章から第15章に綴った.また,副題の“セレンディピティ”の語源とそのさまざまな解釈を第16章で紹介.


[目次]

 はしがき

 1 本多光太郎の足跡を辿る―交流のあった人々―
  本多光太郎と寺田寅彦
  本多光太郎のゲッチンゲン留学
  金研の原点―臨時理化学研究所の発足
  忘れられた物理学者 曽禰武

 2 ワインの真正評価法
  Chaptalization(シャプタリゼーション)
  ワインの検査法
    安定同位体(Stable Isotope)/ C3,C4植物の炭素同位体比
  ワインの製造過程における同位体の分別
  核磁気共鳴法―同位体比を求める実験手法として―
  SNIF-NMR法
  おわりに

 3 形状記憶合金 ニチノールの誕生
  ニチノール開発秘話―発明者ビューラーは語る―
    公私ともに転機に立つ/ 金属間化合物のデータ収集と予備実験/
    TiNiを選んで加工性を調べる/ 驚くべき発見―振動ダンピング特性の
    温度による急変/ Ti-Ni系状態図の検討/ 形状記憶効果の確認―大発見は
    経営会議の席上で
  形状記憶効果発見後の動き
    NITINOLと命名/ Frederick Wang博士の参加/ NITINOLの初期の実用化/
    偶然の発見ではない!
  形状記憶と超弾性のしくみ―原子はどう動くか?
    相変態とは?/ マルテンサイト変態における原子の移動/
    マルテンサイト相の変形―なぜ形状記憶効果が起こるのか/
    もうひとつの変わった性質−超弾性/ 優れた特性を出すための組織制御
  おわりに

 4 材料科学の巨人 アラン コットレル卿の足跡
  オーラル ヒストリーから
    大学入学まで/ 最初は戦時研究―装甲板の溶接割れ/ バーミンガム大学の
    講師となる/ 原子力研究所での研究―ウランの照射成長と黒鉛の照射損傷―
    /ケンブリッジ大学冶金学科の近代化/ 政府の科学顧問になる/
    再びケンブリッジへ
  コットレルの講義
  発表論文と著書

 5 不完全さの効用 ―結晶格子欠陥研究小史―
  結晶格子欠陥
  点欠陥
    空孔の濃度/ 格子間原子の濃度/ イオン結晶の点欠陥
  色中心―イオン結晶における点欠陥研究
  金属における点欠陥研究
    自己拡散の機構/ 急冷による空孔の導入― Zener効果/ 空孔濃度の絶対測定
    / 照射による点欠陥の研究
  線欠陥―転位の“発明”
  転位論のその後の発展―転位の発見
    転位と内部摩擦― Nowickが語る初期の転位研究
  結晶成長とラセン転位
    成長スパイラルの観察
  おわりに
    人物点描  ヨッフェ  フレンケル  ショットキー  サイツ
      ノヴィック  テイラー  オロワン  ポランニー

 6 結晶転位論と山口珪次博士
  山口珪次博士を有名にした2論文
  刃状転位の概念を表す格子模型図
  国際理論物理学会議(1953年9月)―新聞・雑誌の報道から
  国際理論物理学会議―結晶転位と塑性に関する講演―
  山口珪次博士の足跡
  山口珪次博士の講義
  雑誌「金属」と山口珪次
  おわりに

 7 W. L.ブラック―X線結晶学の始祖― ―結晶構造解析,そして結晶塑性,泡模型への貢献―
  ブラッグ父子のノーベル賞受賞とその選考過程
  ローレンス ブラッグ卿
  金属の塑性変形 ローレンス・ブラックの抱いた興味と青二才の目から眺めた
  キャベンディシュ研究所 1950〜1953
    1. はじめに/ 2. ブラッグと金属の塑性変形/ 3. X線マイクロビーム/
    4. 結晶の泡模型/ 5. 一研究学生の目に映じたキャベンディシュ研究所/
    6. 結論

 8 隕鉄の冷却速度は百万年に何℃?―“ウィドマンステッテン構造”が語るもの―
  メタログラフィー(金属組織学)のはじまりと隕鉄の組織観察 ―
  隕石と隕鉄
  鉄隕石(隕鉄)の組織
  ウィドマンステッテンはどんな人物であったか
  ウィドマンステッテン組織の形成過程
  鉄隕石の分類と冷却速度
  隕石の形成過程による分類
  Fe-Ni 2元系の状態図
  ウィドマンステッテン組織は凝固過程で形成された??
  改めまして「ウィドマンステッテン構造の定義」
  隕石保有大国日本―南極は隕石の宝庫
  隕鉄製鉄器と隕鉄製刀
  おわりに

 9 発表の技法―パワーポイントの功罪―
  私のパワーポイント経験
    パワーポイントを習う/ アニメーションを作る/ 効果的なプレゼンテー
    ション/ プレゼンテーションにおけるレーザーポインタや指し棒の正しい
    動かし方考/ パワーポイントの使い方―検索に便利な本
  パワーポイントとは?
    PowerPointという名前の由来
  パワーポイント批判
    宇宙船スペースシャトル「コロンビア号」事故とパワーポイント/
    アマゾン成功の秘密―パワーポイントは使わない
  プレゼンテーションの達人スティーブ・ジョブズ
    スティーブ・ジョブズのプレゼン術/ 社内会議ではパワーポイントは禁止
  おわりに
  付録:文字“鐵”のアニメーションスライド作成手順

 10「材料の破壊」のグリフィス理論再訪
  グリフィスの生涯と研究歴
  グリフィスの破壊理論
    理論へき開強度/ クラックと応力集中/ クラック成長の条件は?/
    破壊理論の実験的証明
  グリフィス理論の金属への適用
  金属疲労と破壊
  FRS(Fellow of the Royal Society)について

 11 小説の中の金属・小説の中の研究者
  肌色の仮面(高木彬光著,光文社)1962年
  探偵作家 高木彬光
    神津恭介の初登場「刺青殺人事件」
  小説金属(K. A.シュンチンガア著,藤田五郎訳,天然社)1943年
  謎の乗客名簿(福本和也著,ベストブック社)1990年
  運命交響曲殺人事件(由良三郎著,文芸春秋社)1987年
    推理作家「由良三郎」のできるまで(要約抜粋)
  その他あれこれ
  小説の中の研究者
    ネヴィル・シュートの小説― No Highway/ウィリアム・クーパーの小説―
    The Struggles of Albert Woods/ C. P.スノーとその小説/
    The Search(探求)/ The Affair(事件)/ The Masters(学寮長)

 12 原爆開発・金属研究所創設・金属学史執筆―非凡なメタラジスト C. S.スミスの軌跡―
  英国に生まれアメリカ移住
    合金製造工場の回想
  原爆製造:マンハッタン計画に参加
  ロスアラモスにおけるメタラジー
    “核分裂連鎖反応”,安全基準/ ウランの製造冶金/ プルトニウムの冶金/
    冶金部はあらゆる材料を扱った !!
  プルトニウム 内部に葛藤を抱えた元素
  シカゴ大学金属研究所
    研究所の衰退と変質
  学術雑誌:Acta Metallurgicaの発行を主導
  金属の歴史に関する研究
  「ソルビー 100年記念シンポジウム」
  美的好奇心が技術を発展させる
  スミスに学べと唱えた人たち

 13 鋼の中の炭素の発見― C. S.スミスの論文紹介―
  鋼の本質についての初期の概念
  フロギストン説による鋼
  東洋のテクスチャがヨーロッパの科学を覚醒した
  鉄の分析に関するベリマンのエッセイ
  研究のフロンティアはフランスへ
  炭素の受容
  要約

 14 化学革命―それに続く化学の基本概念の形成
  ギリシャ人の物質観
  錬金術
  医化学
  技術の遺産
  17世紀の化学
  ボイルと粒子論哲学
  フロギストン説
  気体化学の発展
    炭酸ガス/ 酸素/ 水素
  ラヴォアジェと化学革命
  ドルトンの原子論
  アボガドロの分子仮説
  元素記号
  カールスルーエ国際化学会議

 15 書くこと読むこと断想 ―執筆・翻訳・書評―
  執筆について
    Schribe wie du sprichst(口で言うように書きなさい)/
    丸谷才一「文章読本」/ 三島由紀夫は,喋った言葉がそのまま文章になった
    / 英語で論文を書く/「論文を書くにあたっての心構え」翻訳について
  書評について
    ウイリアム.ヘンリー.ブラッグ―人間として科学者として―の書評/
    ラングミュア伝の書評
  英語の慣用句
    At the eleventh hour/ Mr. Barrettってだれ?/ もうひとりの Barrettさん

 16 セレンディピティの誕生と拡散そして迷走
  はじめに
  辞書をひもとくと…
    プログレッシブ英和中辞典/ The Oxford English Dictionary
  童話「セレンディップの 3人の王子」
  童話「セレンディップの 3人の王子」の諸外国語への翻訳
  日本に来ていた「逃げたらくだ」
  “serendipity”の拡散
  科学における“serendipity”
    レントゲンとX線の発見/フレミングのペニシリンの発見
  再びウォルポールの手紙について
  曖昧で矛盾に満ちたウォルポールの手紙
  異説セレンディピティの語源いろいろ
  おわりに

  索引《事項・人名》


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